SCAAのカッピング基準(2015/12/16改訂版)について調べてみました。
カッピングの方法には大まかに2つの流派があるようです。
・SCAA(Specialty Coffee Association of America)
・COE(Cup of Excellence)
SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)をはじめBSCA(ブラジル・スペシャルティコーヒー協会)、SCAE(ヨーロッパ・スペシャルティコーヒー協会)など多くの国や組織はCOE方式に準拠しているので、COE基準を知りたいところですが残念ながらCOEのルールは公表されていないようです。
というわけで、詳細に情報を公開しているSCAA基準を調べましたが、悲しいことに英語が苦手でよくわからない…。
日本語で解説しているサイトもたくさんありますが、情報が断片的で知りたい内容を網羅しているものは見つかりません。機械翻訳を駆使してなんとなく理解できた情報を備忘録としてまとめました。
それでは、必要な道具から見ていきましょう。
1 カップ
・材質は強化ガラスまたは磁器であること
・容量は7〜9oz(207〜266ml)であること
・開口部は76〜89mmであること
・蓋があること
・使用するカップはすべて同じであること
ネットを探すと専用カップやグラスも売られていますが一つ千円以上します。ちょっと試しにやろうとしても5〜6個は必要になるので、カッピングだけのためにこんな高い買い物はできません。後から追加で買い足そうとしても、仕様が変わっていて数年後には同じものを買えなくなっている可能性もあります。
値段が安くて、簡単に入手でき、10年後でもほぼ確実に同じものが手に入り、ついでに普段も食器として使える。という基準で考えると業務用の定番として広く利用されている強化ガラス製グラスがベストだと思います。具体的にはデュラレックスのピカルディ220ccもしくは250ccをお奨めしておきます。
個人的にはジゴンの方が好きなんですが、220ccサイズの開口部は75mmなので上記の基準に1mm足りません(外径は79mmですが縁の厚さが2mmあるので開口部は75mmです)。
なお、私自身は上記の基準から外れますがジゴンの160ccを使っています。このグラスにコーヒー粉8gとお湯145mlを入れるとちょうど良いんですよね。
ちなみにデュラレックスのグラスに蓋は無いので、お皿等で代用するか蓋は省略することになります。
2 スプーン
・非反応性金属で4〜5mlすくえるもの
SCAAの基準はこれだけみたいですが、ずいぶん大雑把ですね。 素人の個人的見解であることをお断りしたうえで少し補足しておきます。
まず、5mlすくえれば良いからといって、5mlジャストのスプーンではダメです。カップから口元に運ぶときごぼれてしまうし、それ以前にスプーンが小さすぎて吸い込みづらいです。実際には2〜3倍の量(10〜15ml) をすくえるスプーンが必要です。
2つ目は形です、カッピング専用のスプーンはすくう部分が球の下1/4を切り取った様な形をしており、上から見るとまんまるです。レストランなどで食事をする機会の多い方やカトラリーに詳しい方はお気づきでしょうが、ブイヨンスプーンやスープスプーンと同じ形で、涙滴型のティースプーンやデザートスプーンとは形が異なります。
詳しくは知りませんが、カッピング専用のスプーンというものが最初からあったわけではなく、もともとはブイヨンスプーンやスープスプーンをカッピングに利用していたそうです。そして、カッピングの技術が標準化されていく過程で、使いやすいサイズや形に改良され現在のカッピング専用スプーンになったわけです。だから、カッピング用スプーンがブイヨンスプーンに似ているのは当たり前で、ブイヨンスプーンをカッピングに使っても実用上なんの問題もありません。
3つめは材質です。金属限定になっていますが、おそらく木やプラスチックだと匂い移りするからでしょうね。 で、わからないのが非反応性金属(non-reactive metal)という部分です。コーヒーや水に含まれる成分でスプーンが変質してしまったり、金属成分がイオン化してコーヒー液中に溶け出すと香りや味を正確に評価できないので、「非反応=化学的に安定性の高い」金属でなければならないというのはわかります。ではなぜ、SCAA公式のカッピングスプーンとして銀メッキのスプーンが売られているんでしょうか?銀はすぐに変質して黒くなることからもわかるように、化学的に不安定だと思うんですけど…。まあ細かいことは置いておくとして、材質は18-10または18-8ステンレスが無難だと思います。
SCAAのwebショップでは、標準サイズ(幅44mm×深さ12mm×長さ163mm)とSSサイズ(Small Shortの略? 幅41mm×深さ10mm×長さ155mm) のスプーンを売っています。未確認情報ですがSCAJ公認のスプーンはSCAAのものより一回り小さいそうです。
ちなみに、私は燕物産(TBCL)のニューポート・ブイヨンスプーン(18-8ステンレス製)を使っています。サイズは幅42mm×深さ8mm×長さ152mmで約10mlすくえます。価格は税抜き330円なので、800〜1500円する専用スプーンの1/2〜1/4の値段です。このスプーンはホテルや飲食店で業務用として使われており、10年も前から売れ続けているベストセラーモデルだそうです。ピカルディ同様、業務用の定番モデルなので値段が安くて、簡単に入手でき、10年後でも高い確率で同じものが手に入ります。カッピングのために買いましたが、当然のことながら普段もスープを飲むときに使ってます。
ところで、スプーンは2本必要になるので2本用意してくださいね。
3 カッピングフォーム
・SCAAのカッピングフォームがあります
カッピングの評価を書き込む用紙(書式)です。webで検索して入手して下さい。
4 やかん
・SCAA基準なし
基準はありませんが、緑茶や中国茶が好きな人ならご存知のように湯沸かし(やかん)や急須の違いでお茶の味は変化します。コーヒーも同じなので、カップやスプーン同様に気を使う必要があります。
匂いがついてしまうもの(電気ポットなど)や何らかの成分が溶け出す可能性があるもの(鉄瓶など)は好ましくありません。結論だけ書くとスプーンと同様にステンレス製が良いでしょう。なお、カッピングの途中でお湯を沸かし直すことは出来ないので、必要な量を一度に沸かせるサイズのやかんを用意しましよう。
5 コーヒーミル(グラインダー)
・SCAA基準なし
できれば電動のコーヒーミルが望ましいです。性能に定評があり、家庭用として入手しやすいのは以下の4機種あたりでしょうか(手挽きミルは粒度が揃いづらく、そもそも挽くのが大変です)。
・ボンマック BM-250N
・カリタ ナイスカットG
・カリタ ネクストG
・フジローヤル みるっこ
カッピングに限らず、コーヒーはいれる直前に挽いたほうが断然美味しいので、安い手挽きミルでもよいので買うことをおすすめします。
ちなみに、少し前まで私はポーレックスもどきの安い(1250円)手挽きミルを使っていましたが、この程度のものでもそれなりに美味しく飲めていました。このミルは残念ながら1年弱で壊れてしまったので、現在はボンマックBM-250Nを使っています。
なお、SCAA基準のカッピングをしたい場合は、使用予定のミルで豆を規定の粗さに挽けることを事前確認しておく必要があります。
SCAAの挽き目基準
『#20のふるいを使用して70〜75%が落ちる粒度であること』
#20(0.85mm = 850μ)のふるいを用意し、挽いた豆がこのふるいで70〜75%落ちる挽き目を探して下さい(中粗挽きに相当)。もし、該当する挽き目が作れない場合、そのミルはSCAA基準のカッピングには使えません。ちょうど良い挽き目が作れたら、挽き目調整ダイヤルの目盛りを覚えておきましょう。
6 はかり
・SCAA基準なし
できれば、0.1g単位で計れる物が良いでしょう。最低でも0.5g単位で計れるものが必要です。10g程度の重さを誤差10%以下で計る必要があるので、1g単位だとちょっと厳しいです。
7 温度計
・SCAA基準なし
お湯の温度を計るのに使います。0.1℃単位で計れるものが良いでしょう。
8 タイマー
・SCAA基準なし
お湯を注いだ後に時間をはかります。1秒単位で設定できるカウントダウン式のタイマーが使いやすいでしょう。
9 洗浄用カップ
・SCAA基準なし
スプーンを洗うためのぬるま湯を入れるカップです。カッピング用と同じカップを使っても良いし、紙コップなどでも良いですが、香りや味に影響を与えるカップは好ましくありません。
10 排出用カップ
・SCAA基準なし
すすったコーヒーを吐き出すためのカップです。人数分用意しましょう。洗浄用カップと同様、香りや味に影響を与えない限りどのようなものでも構いません。ただ、一度口に含んだものを吐き出すので、美観的に中身が見えない素材で、衛生上使い捨ての方が良いと思います。
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