調整ダイヤルの目盛りは1〜8まであり、間の位置でも止まるので1〜8.5まで16段階に調整できます。各ダイヤルの挽き目は取扱説明書によると以下のような目安になっています。
| 挽き目 | ダイヤルNo. | 使用器具 |
| 細挽き | 1・2 | 水出し |
| 中細挽き | 2・3 | ペーパー/サイフォン |
| 中挽き | 4・5・6 | ペーパー/サイフォン コーヒーメーカー |
| 粗挽き | 7・8 | パーコレーター |
では実際には、どのような挽き目になっているんでしょうか。さすがに試験用のふるいは持っていないので、バラして構造から推測してみたいと思います。
調整ダイヤルの真ん中にあるネジを外すと、歯車のように全周に切り欠きのあるパーツが本体にねじ込まれています。調整ダイヤルを回すと、この部品の切り欠き部分で『カチッ』と止まるようになっており、一周で24か所の切り欠きがあります。
ここでちょっとだけ機械の勉強です。ネジの規格は単純化すると直径とピッチの2つで決まります(条数とか右・左とか細かいことは無視)。直径は誰でもわかるので説明しませんが、ピッチの方は知らない人も多いと思うので簡単に説明します。ピッチはネジの山と山の間の距離で、普通のネジなら一回転させるとピッチの分だけ締まったり緩んだりします。
というわけで、上記の歯車のような部品のネジピッチがわかれば、調整ダイヤルを『1ノッチ=0.5目盛り』動かしたときにミルの刃の間隔がどのくらい動くかがわかります。部品をバラして定規を当ててみると2mmよりは小さく1.5mmよりは大きいサイズに見えます。本当はピッチゲージという測定工具で調べるんですが、持っていないので見た目で判断しました。ピッチのサイズは規格で決まっており、1.5、1.75、2.0と並んでいるので、 たぶんピッチ1.75mmで間違いないはず。
後は簡単な計算です。一周で24ノッチなので、
1.75mm ÷ 24 = 0.073mm
1ノッチ(0.5目盛り)あたり0.073mm歯の隙間が開閉することがわかりました。
取扱説明書によると、ミルの刃が接触した状態から2ノッチ分緩めた場所が目盛り1の正規の位置です。あとは、上記の計算でわかった刃の移動距離に基づき、各目盛りの挽き目(刃の隙間)を割り出すと下記の表となります。
| 目盛り | 隙間(mm) |
| 1 | 0.15 |
| 1.5 | 0.22 |
| 2 | 0.29 |
| 2.5 | 0.37 |
| 3 | 0.44 |
| 3.5 | 0.51 |
| 4 | 0.58 |
| 4.5 | 0.66 |
| 5 | 0.73 |
| 5.5 | 0.80 |
| 6 | 0.88 |
| 6.5 | 0.95 |
| 7 | 1.02 |
| 7.5 | 1.10 |
| 8 | 1.17 |
| 8.5 | 1.24 |
ついでに前に割り出した挽き目の参考値も貼っておきます。
1 極細挽き…0.2mm以下 #70(0.212mm)を通過する
2 細挽き…0.35mm前後 #45(0.355mm)を通過する
3 中細挽き…0.5mm前後 #35(0.500mm)を通過する
4 中挽き…0.6mm前後 #30(0.600mm)を通過する
5 中粗挽き…0.8mm前後 #20(0.850mm)を通過する
6 粗挽き…1mm以上 #16(1.18mm)を通過する
この参考値に当てはめると各目盛りの挽き目は下のようになりますが、あくまでも計算上の数字なので、この通りになる保証はありません。また、粒度のばらつきもどの程度かわからないので、やはりふるいで試験をしたいところです。
極細挽き…1
細挽き…1.5〜2
中細挽き…2.5〜3
中挽き…3.5〜4
中粗挽き…4.5〜5.5
粗挽き…6〜8
まあ、ここまで厳密に見極める必要は無いんですが、メーカーさんにはスペックとして最小の刃の隙間と1ノッチあたりの移動量を記載して欲しいところです。
参考までに、私はコーノ名門ドリッパーで4.5番の挽き目にしています。個人的には中煎りの豆で以下の感じでしょうか。
・3.5 粉が細かすぎて目詰まりする。雑味が非常に多い
・4 お湯の落ちが遅く、とても濃く抽出される。雑味多め
・4.5 適度なお湯の落ち。豆量少なめなら、一番バランスが良いように思う
・5 お湯抜けが良く、抽出が早い。あっさり目なので、豆量多めが良い
・5.5 お湯の抜けが良すぎる。よほど豆量を増やさないとコクが出ない
・6 浸漬法(フレンチプレス)に良さそう。
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