2017年12月29日金曜日

ふるい

コーヒーの挽き目について調べていたら、ふるいにまでたどり着きました。もはや、コーヒーとは関係ない話ですが、せっかく調べたので備忘録として残しておきます。

ふるいや粒度の話をするとメッシュ(mesh)という言葉がよく出てきますが、もともとは1インチ(25.4mm)に含まれる網の目の数をふるいの粗さの単位として利用していたので『mesh=網』がそのままふるい(粒度)の単位になりました。だから、#10なら1インチの間にふるいの目が10個並んでいるんです。じゃあ、25.4mm÷10で網の目のサイズは2.54mmになりそうなものですが、実際には下の表のとおり2mmです。なぜなら網の目は針金でできているので、針金の太さ分を引かなければならないからです。これが、旧タイラー(Tyler)や旧ASTM、旧JIS(旧ASTMをベースにしている)規格です。

でも、ふるいを使うときに知りたいのは網の目のサイズ(目開き)であって、1インチに網の目が何個あるかなんてどうでもいいですよね。しかも針金の太さまで関係してくるので、使う立場の人間からすると昔の規格はわかりづらかったんです。

そこで、網の目のサイズ(目開き)をそのままふるいの単位とするように規格が変更されました。これが現在のASTM(アメリカの規格)やJISのふるいの規格です(どちらもISO規格準拠なので基本的に一緒)。したがって、メッシュという単位はすでになくなっているんですが、昔からの流れで今でもメッシュの呼び名が一般的に使われています。

わかりやすく単純化して書いたので不正確な部分もありますが、このくらいで勘弁して下さい。
一部を抜粋してふるいの規格表を載せておきます(便宜上ぜんぶmm表示にしています)。

 メッシュ  旧JIS
 目開き 
(mm)
旧Tyler
 目開き 
(mm)
旧ASTM
 目開き 
(mm)
新ASTM &
 JIS 目開き 
(mm)
4 4.76 4.699 4.76 4.75
5 4.00 3.962 4.00 4.00
6 3.36 3.327 3.36 3.35
7 2.83 2.794 2.83 2.80
8 2.38 2.362 2.38 2.36
9
1.981

10 2.00 1.651 2.00 2.00
12 1.68 1.397 1.68 1.70
14 1.41 1.168 1.41 1.40
16 1.19 0.991 1.19 1.18
18 1.00
1.00 1.00
20 0.840 0.833 0.841 0.850
24
0.701

25 0.710
0.707 0.710
28
0.589

30 0.590
0.595 0.600
32
0.495

35 0.500 0.417 0.500 0.500
40 0.420
0.420 0.425
42
0.351

45 0.350
0.354 0.355
48
0.295

50 0.297
0.297 0.300
60 0.250 0.246 0.250 0.250
65
0.208

70 0.210
0.210 0.212
80 0.177 0.175 0.177 0.180
100 0.149 0.142 0.149 0.150
115
0.124

120 0.125
0.125 0.125
140 0.105
0.105 0.106
150
0.104

170 0.088 0.089 0.088 0.090
200 0.074 0.074 0.074 0.075
230 0.063
0.063 0.063
250
0.061

270 0.053 0.053 0.053 0.053
325 0.044 0.043 0.044 0.045
400 0.037 0.038 0.037 0.038


ふるい繋がりで、面白い道具を見つけたのでついでに書いておきます。『KRUVE SIFTRE(クルーヴ・シフター)』というコーヒー粉専用のふるいです。ふるいが2段になっており、下のふるいで微粉を除き、上のふるいで大きすぎる粉を除きます。2つのふるいに挟まれた間の空間に目標粒度の粉がたまる寸法です。

わりと最近発売されたばかりのようですが、日本国内でもすでに販売されています。ふるいの網が12枚ついて17,000円ほどなので、とても魅力的な商品です。標準規格のふるいは、一番小さいサイズのものでも1つ3千円くらいするので、ふるい網が12枚ついてこの値段は格安です。
 
付属のふるい網は、mmに換算して0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1の12枚。日本ではまだ販売していないようですが、オプションのふるい網が3つ(1.2、1.4、1.6)あり全部揃えると計15枚のラインナップです。標準規格のふるいとは開き目が違うものの、コーヒー専用で使うには丁度よさそうです。なおメーカーの推奨は、ペーパードリップで0.4と0.8、フレンチプレスで0.6と1.0のふるい網です。ペーパードリップは粒度0.6mm程度、フレンチプレスは粒度0.8mm程度が最適と考えているようですね。


さらにもう一つ、コーヒーに関係のある別の種類のふるいについても書いておきます。コーヒー豆を収穫したときに豆のサイズを選別するためのスクリーンです。こちらは10〜20までのサイズがあるようで、規格は『x/64インチ』だそうです。

ちょっとわかりづらいので、実際に計算してみましょうか。
15番なら、15/64インチ = 0.234375インチ =  5.95mmです。

一般的にスクリーンサイズの大きな豆ほどよく熟した上質な豆と考えられており、取引価格も高くなります。しかし、実際にはそうとも限らず豆のサイズは味には直結しないようです。ちょっと考えればわかりますが、果物や野菜だって同じですよね。大きいリンゴと小さいリンゴのどっちが美味しいかなんて、サイズだけじゃわかりませんから。

でも生産現場では、スペシャルティコーヒーと認められれば別ですが、わざわざ焙煎してカッピングまでして味を評価してくれるなんて事はなく、見た目だけで評価されるのが実態のようです。だから、生産者は少しでも大きな豆を作ろうと必死になっているんですね。なんか、ちょっと考えさせられます。

サイズ 目開き
(mm)
20 7.94
19 7.54
18 7.14
17 6.75
16 6.35
15 5.95
14 5.56
13 5.16
12 4.76
11 4.37
10 3.97

こちらのふるいは生産国で使われるもので、国内で使われることはほとんど無いんだろうなと思っていましたが、一部の焙煎家の方は利用しているみたいです。こちらのサイトには、スクリーンがどこにも売ってなくて困っているという話がのってます。

コーヒー選別用のスクリーンを探してこのブログまで来る人はいないでしょうが、SCAAのwebショップで売ってるのを見つけたので一応リンクだけ貼っておきます。ついでにもう一つ。"green coffee screen"、"green coffee sizing screen"、"green grading screen"などで検索して探すと売っているサイトがいくつか見つかると思います(全部外国のサイトですけど)。

なお、私は上記の店で買い物をしたことはありません。日本まで送ってくれるか、対応がちゃんとしているかもわかりませんので、購入を検討される方は自己責任でおねがいします。

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